同じ樹種に揃えることについて

以前から書いていますが、リビング・ダイニングにウォールナット素材の家具を一定のボリューム入れることを心がけています。

コーポラのインフィル設計において、空間を重く静かに落ち着かるために床に墨色の割肌タイルを入れて、更に空間をサンドするように天井へ北米産のブラックウォールナットの無垢フローリング材を130の幅広&無塗装で入れています。

空間自体はまあまあ雰囲気良く成立しています。

ところが、床&天井に木調を入れる住宅はちょくちょく見かけますが、天井だけってのはあんまり見ません。

それをウチは天井だけやったんです。

空間は悪くないんですが・・・。

天井にだけ主張の強いウォールナットがポンッって感じなので、少し浮いているんだと思います。

入居後にですね、自分の中で「なぜ天井だけにしたのか・・・」という疑問というほどではないんですが、引っかかりが生まれました。

で、なぜの答えが、設計をしていた3年前の自分は、素人バカ丸出しで何も分かってなかったから。

単なる裏付けのない思いつき。

誰でも、何事も、分かってないところがスタートなわけですから仕方ないんですけど、口の中がちょっと苦くなります。

「なぜ」という引っかかりを消すために、天井のウォールナットの存在に必然を与えるべく、床置きの家具でウォールナットを入れてつながりを作ろうと。

床タイル(ほぼ黒)~コンクリ壁(グレー)~AEP塗装(白)のモノトーン空間に、木調の差し色、もとい「差し素材感」を入れる感じです。

で、一通りウォールナットの家具が揃いました。

その結果なんですが、ウォールナットという樹種こそ統一しましたが、やはり家具によって全然見栄えが違うんです。

同じ光の条件で厳密に比較すると結構、違うんですよね。

逆に同じ樹種だからこそ、ちょっとした違いが目立ったりします。

もし、樹種を統一しようとされている方がいらっしゃれば、本日の記事を是非、参考にしていただければと思います。

本当に揃えるとしたら、1つの家具屋に絞って、同じ産地の樹種で、色調・木目を出来るだけ揃えてやってもらうしかないと思います。

基本的に既製品だと、メーカーが違うだけで揃わなくなる可能性あります。

イームズのウォールナットスツールと、ウェグナーのスリーレッグスシェルチェアのウォールナットが欲しい、とかなると、もう絶対に揃いません。

また、造作家具などで構造上、伸縮する無垢材では造作できないとなると、突き板になります。

分かる人間が見たら、立体感とか木調の存在感とか無垢材とは全然違います。

ただ、そこまで揃えてどうするんだという話もあります。

家具はそれぞれ空間に散ってますので、それぞれの家具の場所の光線状態は違いますので、そもそも全く同じように作っても同じようには見えません。

モクは生き物ですから、1つとして同じものはありませんし。

例えば、ウチにお招きしたお客様は・・・・まず気がつきません。

そもそもウォールナットを知りませんし。(必ず目にしているはずなんですが)

そもそも同じ樹種で揃えていることすら、気付かないと思います。

ある意味、施主が出口のない迷路にはまっているだけの話のような気もしてきます。

まあ、とりあえず比較してみます。

比較の基準にするのは、天井のブラックウォールナットです。

天井は無塗装ですが、近いうちにサンダーしてオイル塗装する予定なので、同じメーカーのオイル塗装した製品(天井を塗ったあとの色調の近いモノ)を比較サンプルにしました。

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左が濡れ色のオイル塗装品、うしろが無塗装の天井です。

天井はもともと今より褐色の枯れ色で幽玄な感じでしたが、日焼けして黄赤色が強くなり、なんだかAV男優っぽくなった気がしてまして少し残念です。

でも、比較サンプルの濡れ色の方が遙かにAV男優っぽいですね。

まず、先日のKARFに造作を依頼したTVボードとの比較。

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TVボードは、無垢材のウレタンの薄塗りで、塗装はオイル塗装に近いです。

材の産地は聞いてません。

結構、違いますね。

左の比較サンプルは日焼けして黄赤色が増しています。

TVボードもこれから焼けますので、多少は差が詰まるでしょうか。

ウレタンの薄塗り技術はどこの工場もかなり進んでいる印象です。

特殊な光の状況下でないとパっと見では分かりません。

特殊な状況とは、ウレタンは膜でコーティングしますので、膜が光を反射して白っぽく見える角度がありまして、例えば逆光に近い光線で木調を見るときです。

いきなり木目が見え難くなり、モクの存在感が喪失します。

でも、そうとう薄くする技術が進んでますので、かなり厳しい特殊な状況じゃないと現出しない症状になっていると思います。

ウチのTVボードは窓下の腰壁につけていて、光が直接あたりませんので、上記のような消失現象は起きません。

ちなみになぜウレタンにしたのか・・・・実はオイル塗装と指示したはずなのにウレタンで仕上がってきたんです。

汚れなんて付かないのでオイルでいいんですが。

次は、KARFに依頼した額縁です。

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ウォールナット無垢材のオイル塗装です。

材の産地は聞いていません。

これも違いますね。

日焼けしたら、少し差は縮まるでしょう。

額の方はオイル塗装したてなので、まだ艶っとしています。

次はハーマンミラーのイームズ・ウォールナットスツールです。

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ウォールナット無垢材、ウレタン塗装です。

材の産地は分かりませんが、アメリカ製なら北米産ブラックウォールナットでしょうから、全く同じになります。

イームズは濃いですね。

全然、違う・・・・。

ウォールナットスツールの弱点と考えているのが、ウレタン塗装が分厚すぎるということです。

ちょっとした光ですぐに白光りしてしまいます。

写真でも出ていますね。

白くなると途端にその箇所のモクの存在感が消失するんですよ。

リビングの置く場所によっては、全体的に白光りしてしまい、存在感が希薄になる瞬間もあります。

こりゃコーティングしすぎでしょう。

無垢なんだし、プリミティブなテイストなんだし、傷とかシミは美しい時間の蓄積ということに変換できると思うんですが。

ここは幻滅です、センスがない。

次はスリーレッグスシェルチェアです。

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ウォールナット突き板、オイル塗装です。

これも全然違いますね。

お前はチークか!ってぐらい薄い。

今までの比較はある程度ですね、許容できないこともない差でしたが、これは非道い。

スリーレッグスを作る工場の在庫次第で、濃くなったり薄くなったりするんでしょうけど。

購入したショップで薦められてメンテナンス用のオイルを購入したんですが、これがチーク用。

それを試しに無塗装のウォールナット無垢材に塗ってみたら、薄い濡れ色にしか変化しませんでした。

スリーレッグスの深みのないウォールナットの木目はオイルが原因かもしれません。

今度、天井に塗るつもりのオイルをスリーレッグスに塗ってみようと思っています。

濃い濡れ色になるオイルなので変化があるかもしれません。

次はTIME&STYLEで造作したダイニングテーブル&チェスト。

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ウォールナットの厚突き、ウレタンオイル塗装です。

材の産地は不明です。

これはほとんど同じです。

これと同じやつにして欲しいと比較サンプルを工場に渡して仕上げてもらいました。

結構、大きなボリュームの家具でして、無垢材では伸縮やしなりが出るため難しいと言われまして、突き板にせざるを得ませんでした。

突き板にせざるを得ないなら、薄突き0.2mmではなく絶対に厚突き0.6mmです。

立体感、木目のリアルさが違います。

無垢と同じとは言いませんが、それに近いリアルなモクの存在感がでます。

塗装はですね、ダイニングテーブルですからオイルだと、シミや傷がかなり心配です。

仕方なくコーティングによる保護を優先してウレタンオイル塗装(お店によって名称が色々あるようで、要はウレタンの薄塗りだと思います)にしました。

ダイニングテーブルで私が座る席は、窓があってテーブルがあって私という位置関係にありまして、要は逆光気味なんです。

少し目線を下げてテーブルに顔を近づけると、白光りしてしまい一気に木目が消失します。

かなり意地悪な状況です。

普通に見れば薄塗りですから、上掲の写真のようにオイル塗装と比較しても分かりません。

それから、忘れていましたが、同じ樹種の突き板と無垢材を同じ空間に置いたとき、同じ樹種に見えないくらい印象が大きく変わる点があります。

突き板は格好いい木目の箇所を幾らでもリピートできます。

それを「見て!見て!」と言わんばかりに繰り返して貼るのが常なんですが、それをやると無垢とは並べられません。

ウレタンとオイルの塗装の違いどころじゃない大きな違いになります。

無垢材は大きな面に貼っても、1つとして同じ木目はありません。

突き板は幾つも共通する木目が存在します。

100%の天然デザインと人の手が入ったデザイン、これは埋めることができない溝だと私は思います。

現に、ウチの突き板のダイニングテーブル&チェストには、凄い良い部分の木目がですね、互い違いに格好良くリピートしてあるのです。

家具の形が「T字」の形でして、正面から見ると左右対称なので、対称間を出すために左右同じように木目をリピートさせたようです。

デザインとしては的を得ていると思います。

実際にも厚突きの存在感と相まって、それはそれで表現としては格好良く仕上がっています。

でも、ダイニングテーブル&チェストは、天井とのつながり作りの一環で、床置きれたウォールナットというグループの一員です。

他のウォールナットの家具と見比べると、どうやっても浮いているんですよね。

天井は一番大きいウォールナットのボリュームでして、そこに1つも共通する木目って無いんですよ。

ここにつなげたいなら突き板じゃダメだったなと思います。

もし、突き板ならですね、天井と同じ130の幅の突き板にして、ランダムに貼るようにお願いするべきだったかもしれません。

でも、所詮突き板ですから、無垢の存在感は出せないのにランダムに貼ってもという気もします。

まとめますと、同じ樹種に揃えたいなら、

・無垢か突き板のどちらかに統一する
・無垢と突き板をミックスするなら、厚突きにしてランダム貼りにする
・材の産地を揃える
・出来るだけ同じメーカーに頼む
・難しければ基準とするサンプルを渡して近づけてもらう
・塗装はウレタンの薄塗りならオイル塗装と遜色ないが、光量の多い逆光下では差が生じる可能性があるので注意

こんな感じでしょうか?

コーポラの設計から今まで腐心してきたトピックなので、長々と申し訳ございませんが、まとめさせていただきました。
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