TVボードの造作について

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コーポラに入居して約1年・・・ようやくTVボードを手に入れました。

本日はその造作について記事にします。

元々ですね、コーポラに引っ越す前に42インチと純正のテレビ台を持っていました。

デザインの良いソニー製で、しかもハイエンド機。

薄型テレビが話題になり出した5年前に購入した製品ですが、薄型の出始めですからね、今と違って安売りの対象になっていませんからとても高いんですが、高級なヤツは本当にデザインや質感がイイ。

漂う風格は現行の高級機とは比べものになりません。

わざわざ42インチに合わせた純正のテレビ台もありまして、テレビと凄い一体感だったので、そちらも購入しました。

これも高かった。

コーポラに引っ越す前はそれを賃貸住宅に置いていたんですが、全く見栄えがしませんでした。

宝の持ち腐れもいいところ。

子供もできて、大画面のテレビは影響が大きいかもしれないという考えもあって、コーポラの入居が近づくにつれて小さいサイズに買い換えようという話を妻とするようになりました。

そして、コーポラに引っ越して、とりあえずセットしてみてビックリ。

ウチのテレビ&テレビ台ってこんなに格好良かったっけ?

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デザインは然るべき空間に然るべき余白を取って置いて、初めて活きるのだと認識しました。

オリジナル家具の造作① ~ダイニングテーブル&チェスト~の記事の最後段に書きましたが、賃貸住宅に住んでいたときに使っていたイサムノグチのサイクロンテーブルやイームズのチェアも、賃貸の立て込んだリビングでは全く見栄えがせず、コーポラに持ってきて初めてポテンシャルを発揮したんですよね。

とりあえず、手持ちのテレビがコーポラに相応しいとしても、まあ子供のことを考えて手放すことに。

ところが、小さいTVに買い換えようと思って量販店にいったら、時代は正に大画面って状況でして、機能の良い製品を選ぼうとすると、必然的に40インチ以上しかない。

ムムムム・・・・とりあえず上位機種で唯一37インチがあるレグザに。

デザイン的にはかなり落ちますが、トリプルチューナー(TVを観ながら、裏で2番組を外付けHDに録画できる)は大変重宝しとります。

けど、気がついたら5インチしか小さくなっていない。

こんなはずでは・・・・。

まぁ、そんな中途半端な買い換えを経まして、新たにテレビボードが必要になったわけです。

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既製品のTVボードやTVボードとして使えるインテリア家具、システム収納などを色々と見て回りましたが、どれもピンとこない。

そもそもタダの台ですから、どれも似たような感じで買い物スイッチがオンするようなものはなかなかない。

まあ一応、検討したのはあるんですが。

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チッテリオのARNE

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ENVIROMENT FURNITURE

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ビスレーのSYSTEM 180

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2つともHALOのコーヒーテーブル

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ピュアオーディオの定番収納QUADRASPIRE(クアドラスパイアー)とか。

それから十八番のHallerです。

いずれも大きさ、奥行き、収納力、インテリアイメージとの兼ね合いなどあって採用に至らず。

今思えば、ソニーの純正のTV台はですね、凄く格好良かったのだとちょっと後悔しています。

まあ気に入ったのがなければ、ダイニング&チェスト(オリジナル家具の造作①オリジナル家具の造作②)のように造作してしまおうと。

ダイニングテーブル&チェストを造作する際に色んなショップに伺って話を聞く中で、TVボードバブルというほど造作依頼の件数が多いと聞いていたので、造作することは普通なんだろうなという軽い気持ちでした。

まず、どんなデザイン/形にするか考えましたが、全く思い描けない。

そもそもどんなのが欲しいのか自分に全くイメージがないことに気付きました。

こんなじゃあ、既製品を探してもピンと来るわけがありませんね。

では、先に素材を考えようということで、ウォールナットを入れようと考えました。

以前から記事に書いていますが、天井をウォールナット板張りにしたのですが、空間の中で完全に浮いてしまっているので、下に置く家具を一定のボリュームでウォールナットにして繋がりを造ろうと。

既に造作したダイニング&チェスト、ウェグナーのスリーレッグスシェルチェア、イームズのウォールナットスツールなどウォールナット製は幾つかありますが、まだ足りません。

そして、TVボード全てが木調だと野暮ったいので、ダイニング&チェストの造作において前面をグレーのベルベット生地でドンス(布団)張りにしたように、異素材をミックスさせてモダンにしようと。

ここまではイメージがパッと湧いたのですが、一体どんなデザイン/形にするのか・・・・これは相変わらず思い浮かばず。

アンテナを張る中で良いなと感じたのは、当ブログに遊びに来てくれるちゃぼんさんのところの造作TV台のように、テレビ画面とほぼ同じ容積に抑えた台です。

これは拝見した時に衝撃を受けました。

とても格好良い。

ただ、ウチはオーディオ機器等をTVボードに収納したいので、こういうスタイルは難しい。

ここで停滞しまして、この間、テレビはずっとパンダ柄の引っ越し用の段ボールに置くことに。

他にデザイン家具がドンドン入ってくるのに、いつまでもTVが取り残されて、流石にインテリアに全く興味のない妻から強制執行の通知が。

つまり、早くやらないんなら、近所の西友で適当に一番安いヤツを買ってくるぞと。

造作する以上は中途半端にやっても仕方ないでしょうとなだめつつ、暫しアンテナを張る中でようやくこんな方向性が良いのではないかというサンプルが網にかかりました。

とある雑誌のDIY紹介の中にあった写真です。

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ポイントは2つの大小の台の重なりとキャスター。

これをヒントに我がコーポラのリビング・ダイニングに合うTVボードのイメージを膨らませました。

キャスターを使ったインダストリアルな雰囲気ということで、H.I.Dとかへの依頼も検討しました。

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こういうメッシュもカッコイイです。

ただ、最終的にラフ&タフな感じよりもカッチリ綺麗めが良いと思いまして、インダストリアルはなしに。

キャスターもなし。

前述の気に入った写真の「2連の重なり、連なり」だけで何かデザインを。

TVボードってそもそもそんなに構成要素がありませんし、やりようがないんですよね。

とりあえず「箱」を置いて、それの上をまたぐように「門」をかぶせて重なりを出そうと。

まあ、門型の美しさには元々、惹かれるモノがあったので、最初に門という発想があって、門×門だとひねりがないので、箱にしようと。

奥行きがピシッと揃っているのもつまんないので、門より箱の奥行きを長くして、「門が箱から横に突き出る」一方で「箱が門から前後に突き出る」ようにして、少し互い違いにクロスさせるようなことをイメージしました。

こんな感じです。

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シンプルな箱と門の組み合わせですから、それ以上はデザイン的にやりようがないので、建築的な発想を取り込んで、アトリエ系の設計士がこだわるように、個々の線、個々の面の美しさ、つまり端正なボリュームを作ることを意識してみようと。

造作をお願いするお店もこういった観点を共有できるところにしようと考えました。

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イメージが出来上がったので、早速、オーダー先を吟味することに。

ウォールナットを入れる以上、モクの造作が得意なお店が良いと思いまして、安直な発想ですが目黒のお店ということで、ダイニングテーブル&チェストの造作でも見積もりを取ったHIKEKARFに絞りました。

一度、打ち合わせをやってますので、大体どんな感じか分かっていますので。

まず意匠的にはHIKEの方が尖ってますね。

木口を薄く見せたり、家具前面には非常に美しい木目を入れますし、木目を中央から敢えてズラしたりして憎い演出をしたり、細かい所にこだわりがあります。

ここの家具が格好いいのは間違いありません。

ただ、値段もそれなりに高くなります。

そこをどう捉えるかですね。

あと、以前の造作家具のショップ選びの記事でも書きましたが、柔軟性には欠けます。

クライアントの要望に応えるより、自分達の美意識を形にする方にこだわりが強いとでもいいますか。

私がオール木調は野暮だから異素材を入れることを最初に強く釘を差したのに、途中で何度か「オールモクがいいな~」「オールモクにしませんか」と言ってきました。

悪気はないんでしょうが、客のイメージするモノではなく、自分達が格好いいと思うモノを目指そうとする強い傾向があります。

自分のイメージを形にするのではなく、HIKEのイメージが欲しいなら問題ないんでしょうね。

私が目指す設計士との完璧なシンクロ・・・・コーポラの設計での苦しみ、そしてダイニングテーブル&チェストの造作での不完全燃焼を経て、次こそは設計においてエクスタシーを!と狙っていたわけですが、HIKEでは難しいと感じました。

結局、見積もりを取ったら、大体これくらいですよと事前に聞いていた金額を10万円以上オーバーしており却下することに。

しかも、オーバーしたことに対する弁解は一言もなし。

この対応にですね、家具がカッコイイとかそういう以前に問題があると判断しまして、KARFへ切り替えました。

KARFの設計士は、ダイニングテーブル&チェストの際に見積もりを取ったことを覚えていまして、「あっお久しぶりです」という感じで心地良くやり取りが始まりました。

先にあげたイメージを示しながら、試しにここの木口処理はどう思うか、ここのボリュームの取り方は、など矢継ぎ早に質問したところ、予め自分で出した答えそのままの回答が帰ってきました。

その時点で「あっここだ!」と。

もともとダイニングテーブルの際も気持ち良く応対していただいてはいたんですが、TIME&STYLEとかHIKEとか浮気して帰ってきてみると、あらためて良さに気付きました。

オリジナル家具、造作家具から店舗設計まで幅広くやられてますので、自分達のカラーを持っていますし、客のカラーを描くこともできる、そんな懐の広さを感じました。

オールモクは野暮と言えば、そういう捉え方もありますねと理解してもらえますし、決して自分がオールモクにしたいからと言ってオールモクの提案をすることもありません。(KARFもオールモクが好きなお店のはずです)

端正なボリュームを重ねてオブジェのように見せる、という趣旨も分かっていただいて、出来るだけミニマムにまとめましょうということで、木口やつなぎ目ができるだけ分からないような仕様にすることに。

異素材の組み合わせも、門型の台をツヤありの黒にしてTVの黒とあわせて、箱をウォールナットにして1つの大きなモクの塊としてボリュームを出すことに。

ウォールナットの箱は「塊」感を出すために木口を出来るだけ消します。

門と箱で素材が完全に分かれますが、重ねて設置すれば異素材のミックス感は出るというような導きをしていただいて、私のイメージをまとめてくれました。

まあ、自分でも大体は同じようなイメージを描いていたのですが、試しに聞いてみたところ、淀みなく私と同じような経路を辿って結論も同じと、これは気持ち良いです。

肯定されるって、「私、生まれて良かったんだ(涙)」という感謝の気持ちに似た悦びに満たされます。

KARFとの設計は楽しかったです。

あ~こういうのが設計だよな~としみじみ思いました。

イッイク~ッ!というほどのエクスタシーはありませんでしたが、これぞ設計のカタルシスというようなモノは体感できました。

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そして、GW明けにオーダーを出して、遂に先日、納品されました。

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まあ、たかだかTVを置く「台」ですので、そこまで見栄えのするモノではありませんが、空間にウォールナットを追加できたこと、設計においてようやく成功体験と言えるモノを勝ち得たこと、パンダの段ボール箱から解放されたことetc、造作して良かったと感じています。

成功体験・・・設計のカタルシスを感得できたこと、これが私の中では一番大きいですね。

設計はトラウマになっていますから。

値段はですね、HIKEよりも15万円も安いです。

HIKEは黒く塗装する門型の台も、無垢のウォールナットにするとか言ってました。

塗装したら元の樹種なんて分からなくなりますが、なぜ値段の高いウォールナットにするのか意味不明です。

お客の金を使ってオーナーが道楽をしている(好きな家具造りをしている)と言われても、仕方がない気がします。

まあ、前面の木目はですね、HIKEの方がアクセントとなる大きい目を入れたり、1枚のつながった木目だったりと、KARFよりずっと格好良く仕上げるとは思います。

KARFにもHIKEのように格好良く太めのアクセントになるような木目を!と注文しましたが、発注先の工場の在庫次第、工場の判断になる、まず無理です、というような返答でした。

こういったところが10万以上の差になって現れます。

こだわるかどうかは価値観次第ですね。

私は、個々の箇所に最高を積み上げて最高と思えるモノが出来上がっても、それを設置する空間の状況によって最高が最高に見えなくなることをコーポラの設計/入居を通して痛感していたので、それなりで良いと思いました。

空間にはソファとかイージーチェアとか置き照明とか他に主役がいますので、TVボードはそれなりでOK。

それでも十分な見栄えになるだろうと。

KARFでは、こだわるところはこだわり、捨てる所は捨てる、というような形で過不足なく対応していただいて、コストパフォーマンスを含めて良い造作が出来たな、と感じています。
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