オリジナル家具の造作② ~ショップ選び~

前回の記事オリジナル家具の造作① ~ダイニングテーブル&チェスト~の続きです。

造作を依頼するショップ選びについて。

コーポラ作りにおいては、コーディネイト会社/設計事務所から一方的に割り当てられた設計士と相性の如何を問わず進めていくより他ありませんでした。

それはそれは言葉で語れないほど様々なやり取りに難儀しまして、ストレス溜まりまくりの設計だったものですから、造作家具は良いお店を探してストレスフリーでイメージを形にしたいと、お店選びは慎重に行いました。

まず、天井のウォールナットとつながるようにウォールナットで造作したい(詳しくは前回の記事をお読みください)と考えましたので、木の造作が得意なところを当たりました。

まず、PACIFIC FURNITURE SERVICEに伺って見積もりと図面を依頼。

ただ、待てども待てども一向にメールが来ない。

こっちからメールすると、別の人と勘違いした内容のチンプンカンプンのメールが帰ってきました。

そして暫くしたら年賀状がきまして、そこには注文して納品を済ませたかのような一言書きが。

余りのアッパラパーな対応に候補から却下。

次は「モクと言えば目黒あたりかな」という先入観で探して見つけたKARFHIKE

HIKEはオーナーが設計をやってるんですが、脚高を高めにして軽く見せたり、木口を薄く見せたり、木目も敢えて中心からズラして張ったりと独特の美学を感じました。

オール木調の家具って野暮ったさを感じますが、ここはある意味、木調の家具でもモダンではあるなと感じました。

ただですね、冬に見積もり等をお願いしたんですが、オーナーがちょくちょくスキー合宿に行っちゃってリファレンスが遅い。

何となく会社員離れした悠々自適さに会社員の私が嫌になっちゃってお断りすることに。

PFSとHIKEですが、今振り返るとちょっと方向性が違ったなと感じています。

まず、私は全てが木でできた家具に対してどことなく野暮ったく感じてしまう傾向があります。

それから、要望のやり取りをして強く感じたのですが、自分達のスタイルがガッチガッチに固まってまして、それ以外の趣向に応じる柔軟性に欠けています。

依頼をするお客さんは、自分のスタイルをお願いするのではなく店のスタイルを受け入れて(または欲しがって)注文をするのだと思います。

自分のスタイルを形にしようとしている人は、店側の価値観を無理矢理押しつけられるような感じを受けられかと思います。

私の勝手な先入観ですが、木の造作をウリにしているお店ってそういう傾向が強い気がします。

そういう意味でKARFの設計士の方は、店舗設計など幅広くやってっらっしゃるせいなのか印象が良かったです。

自分達の得意なテイストにあぐらをかくことなく、一歩二歩とこちら側に歩み寄ってくれる感じがしました。

見積もりや図面なども手際良くいただけました。

KARFかな・・・・と考えていたところで、前回の記事で書きましたがチェストの前面をドンス(布団)張りにするという案が浮かびました。

モクよりもドンス張りの方が意匠的にポイントが高いと考えまして、第一にドンス張りを格好良くできること、モクのセンスはその次、というようにお店探しの方向性を修正することに。

この頃には、私が色々と考えたイメージ(前回の記事でアップしましたエクセルで作った3つの図です)を上回るような提案を店側がすることはないだろうと思い始めていましたので、意匠的なアイデアは全てこちらで考えて、お店には専らイメージを形にする作業をやってもらおうと考えました。

以前の設計士のセンスを施主が上回る!?という記事で書きましたが、コーポラを考えるくらいのこだわり屋さんの施主なら上回ってしまうところは絶対にあると思います。

普通の設計士より、家を買うぐらいの人の方がお金があって色々とセンスを磨く機会は絶対に多いわけですから。

結局、人間のセンスって完全オリジナルということはなくって、意識/無意識問わず様々な影響を積み上げた結果と言える所があるような気がしまして、趣味に走ったり遊び倒した人の方が経験、つまり「影響の蓄積」が豊富なのでセンスが鋭いと思います。

さてさて、ドンス張りを上手にやるにはどんな技術が必要だろうか・・・・ウレタンで成形したところに布を張るって椅子の座面と同じだよな、と思いまして、オリジナル家具で椅子を造作できるところが良いだろうと。

高級ホテルのベットヘッドにある壁によくドンス張りがあるのを見て思いついたアイデアですので、単に作れるというだけではなく、高級感/上質感を演出する要素として作れることが大事だと思いました。

生地はベルベットしかないと決めていました。

ウレタンで成形した美しい隆起やカーブ、そして光を受けて微妙に反射するベルベットの張り地・・・・そういった感覚を共有できるお店に頼みたい。

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こんな感じで、縁をカーブさせて生地に表情を出そうと考えていました。

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それから木の木口をスッキリ格好良く見せるために斜めにカットしようと。

そうこう考えているところ、六本木ミッドタウンにあるTime&Styleにふらっと立ち寄った際に「ここならいけるかもしれない」とビビっときました。

ミッドタウンという立地の高級感にやられただけかもしれませんが。

設計士ではなく店舗在駐の店員の方が担当になりましたが、住宅関係の会社にずっとお勤めだったそうで、コーポラの設計士より話が通じる。

上質感/高級感とかモダンな感じという感覚は容易に共有できて安心しました。

流石、ミッドタウンに構えているだけのことはあります。

ベルベットの生地選びに悪戦苦闘した際も、ベルベットの質感や色味にこだわることに理解を示してくれて、付き合いきれんわと投げ出さずにちゃんとついてきてくれたのでは助かりました。

家具の木口を斜めにカットするということも上掲の写真のとおり苦もなくやっていただけました。

出来上がった家具には納得しているのですが、ストレスフリーでイメージを形に出来たかというと・・・・う~ん、満点は到底つけられませんでした。

オリジナル家具を製作したいというのに、なぜかあがってくる図面にはTIME&STYLEで展開しているセミオーダーの家具を流用している。

おいおい、お宅はオーダー家具の話を受けているんであってセミオーダーじゃない!と指摘するも、決まって「総合的に判断してそれがベストなので採用している」と言うのですよね。

こういうやり取りは何度となくありました。

細かい仕様を言うと「セミオーダーの仕様がこうなっているので対応できない」と言うので、それじゃあセミオーダーを使うのはベストじゃないということでしかない、こっちはオリジナル家具を作っているのにとても違和感を感じる、と反論しました。

しかも、見積もりは、セミオーダーのくせに全てオリジナルで作るKARFより遙かに高い金額です。

また、無垢にして欲しいと言うと、反りが心配なので出来ないと言われました。

KARFとかHIKEでは普通に無垢でOKだったのですが。

突き板なのにオール無垢のKARFより高いって・・・・。

せめて0.2mmの薄突きではなく0.6mmの厚付きでやってくれ、と言うと「とても高くなりますよ」「薄突きで十分」など否定的なことを言い、高くても構わないから厚付きで!キレ気味に見積もりを取ると、不思議なことにほんの数万しか変わらない。

しかも、出来上がった家具の厚突きの存在感を見て、「うわーすごい。初めてです。」とおっしゃっていました。

薄付きより厚付きの方が厚みがあるので木目に立体感がでて格好いいのは当たり前なんですけどね。

(但し、無垢ほどの立体感はありません。ただ木目そのものは良い所を繰り返し使えますので、突き板の方が迫力はあります。でも自然のものにはそんな格好いい木目が連続するわけないんですから、わざとらしいと言いますか人工的と感じられるかもしれません)

厚突きを初めて見たそうです。

なのにあたかも比較したことがあるかのように「薄突きで十分」とか言っていたんですよね。

また、前回の記事で書きましたが「オブジェのような一本脚」を希望したのですが、既製品のカタログを見せられて「好きなのを選んでください」と。

そこにはオブジェのような脚はありませんので、当然、選べないわけです。

結局、金物はオリジナルで作ると高くなると言われまして、仕方なく既製品の「間違ってもオブジェには見えない脚」にならざるを得ませんでした。

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振り返ると、コミュニケーションするなかで理解できない箇所は幾つもあったので、それなりにストレスを感じました。

しかもそれに輪をかけて不満だったが金額です。

見積もりを取った中でずば抜けて高額なんです。

高いくせに、他店で提示を受けた仕様より見劣りする部分が幾つかあり、そういった部分も納得できていません。

ただ、ドンス張りとか、上質感とか、テーブルをチェストに突っ込むデザイン、総合的に空間の主役となるだけの存在感とか、キーになる要素の幾つかの感覚は共有できたと言いますか、頼りになると感じまして、最終的にはダメダメだったコーポラ設計よりかは遙かにマシというレベルの低い判定材料のもとTIME&STYLEにお願いをしました。

出来上がってきた家具は、感覚を共有できたと思ったキーになる要素が思い通りに、または予想以上に形になっていたので、結果として色々とストレスはあったにしろ良かったと思っています。

いや~「完璧」(ストレスフリーでイメージを形にすること)ってあり得ないんだな、と感じました。

過程にストレスはつきもの、依頼者としては結果がそれなりだったり良しとしなくちゃいけない、というのが現状における私の結論です。

コーポラ設計で難儀して、いやいやこんなストレスフルじゃないはずだ、自分は設計士との巡り合わせが悪かっただけ、と確認したくて始めたところもあるオリジナル家具の造作ですが、過程を不問にして結果が良ければ全て良しとしなくちゃならないとなると、自分の気持ちのやり場がなくなっていまします。

なんせ、コーポラの設計は不満でしたが、出来上がったコーポラにはまずまず満足していますので。

ストレスフリーでイメージを形にすること、出来るはずだと思うのですが・・・・でもどうやればそうなるのか分からない。

設計やコミュニケーションが楽しくて楽しくて仕方なく、出来上がりも想像を絶する・・・という体験をしてみたい。

次回はTVボードの造作をします(現在、競合プレゼン中)ので、そうなるようがんばります。
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