間接照明の施工・設計ミスと撤去について
我がコーポラのリビング・ダイニングに幅6mの大きな開口があってバーチカルブラインドを設置しているのですが、そこに間接照明を付けるよう設計しました。
こんなイメージです。
窓際の間接照明と言えば、光と影でヒダが美しく現れるカーテンでこそ本領が発揮されると思いますが、ウチは天井に張ったウォールナットのライトアップが主役なので、窓面はバーチカルの間接照明ぐらいがスッキリしていて好都合と考えました。
我がコーポラでは照明計画に関する記事グループを作っているように照明については力を入れて考えていまして、特にリビング・ダイニングは住居のハイライトですからマックスな意気込みです。
その意気込み故にリビング・ダイニングの照明計画は紆余曲折しましたが、最初から最後まで一貫して変更しなかった箇所がバーチカル照明でして、一番楽しみにしていた箇所といっても過言ではありません。
リビング・ダイニングの他の照明と一緒に調光器(ルートロン)につないで空間を一括して演出するのですが、バーチカル照明は中でもキーになる役割です。
そんな大事なバーチカル照明なのですが、入居してみたら設計ミスにより間接照明になっておらず、やたら明るいということが判明しました。
しかも、施工ミスにより調光もできなかったのです。
まず、間接照明なのにやたら明るいことについて。
パナ電工のシームレスラインランプ(遮熱板付き)を入れたのですが、何度もショールームに伺って話を聞きまして複数のプランナーから、「これで明るさを確保する発想は捨ててください。デザイン的な照明です。」という説明を受けました。
ショールームに実際に間接照明として敷設された製品展示があって、それを何度も確認して脳裏に焼き付けていたのですが、出来上がったバーチカル照明はどう考えても明る過ぎる。
バーチカルは透過性のある素材(日中に外の明るさを呼び込むため)にしているので、ショールームのように壁で光を漏らさず受けた場合と比較すると、一段も二段も明るさは落ちるはずなのですが。
これがバーチカル照明を除いて、全灯を全開で点灯させた場合です。
これがバーチカル照明を含めて、全灯全開の場合です。
問題なのは、過去の照明記事で書きましたが「光を絞ることで格好良い雰囲気が得られる」ので「1つ1つの照明が互いに干渉しない」ように照明機器の種類、配置、ルートロンによる調光という設計をやってきたのに、間接照明を点灯させると折角の「明かり溜まり」(光があって影がある状態)が消滅して空間全体が明るく「白々しく」なってしまうのです。
これは私的にダメなんです。
本来、「明かり溜まり」を消し去るほど明るくないはずなんですが・・・・間接照明というよりは直接照明なんですよね・・・・あれっ!ひょっとして・・・・と思い立ち、バーチカル照明を設置しているカーテンボックスの内寸を計測して原因が分かりました。
パナ電工のHOMEARCHIのカタログ、別名「赤本」には、「天井の端からバーチカルまでのカーテンボックス開口部を6㎝、その開口部からカーテンボックス奥の照明機器を設置する突き当たり面まで15㎝」という参照数値が掲載されています。
カーテンボックス内に光を一旦閉じ込めてから、細い開口部を通して間接的に明かりを回すために、2:5という数値になるのだと思うのですが、実際のカーテンボックスの内寸を計ったところ1:1でした。
間接照明にしたはずが直接照明にされていたとは・・・・これでは、私が避けてきた蛍光灯で全てを明るく照らす昭和ライクな悪しき発想の照明と何ら変わりない。
設計士はですね、間接照明を設計したことがなかったんです。
ですが、カタログにとても分かりやすく参照数値があるのですから、普通はうまくやりますよね。
この感受性の鈍さ、応用力のなさ・・・・既に入居してしまっていますが、あらためてこんな人に頼んだのかと愕然としました。
ただ、我がコーポラのスケルトン設計がバーチカル照明に対応していなかったとも言えるようです。
カーテンボックスの大きさはある程度、スケルトンで決まっているのですが、ボックス内にカーテン等を収納して更に間接照明の機器を入れる余裕は元々無かったようです。
間接照明とか小洒落た演出とは無縁のストイックな設計をする事務所なので、そんな隙間は用意していないのです。
そういう意味では設計全体とそもそも相性は悪いんですよね。
それは兎も角として、スケルトン的に間接照明が難しければそう言えばいいのに、安易に1:1なんてあり得ない配置をしてしまったのは設計士の「非」以外の何モノでもないと思います。
これについて夜間に施工会社の現場監督と設計士を呼び出して、如何に明るいか確認してもらいました。
また、設計士を個別にパナ電工のショールームに呼び出し、間接照明の展示を確認した上で赤本の参照数値を提示して「設計ミスだ」と切り出して、費用全額負担で2:5となるようやり直し工事を求めました。
最終的にこちらの費用負担なしでやり直し工事をやってもらうことに。
次に、ルートロンの調光ができない施工ミスについて。
呼び出した電気工事会社の担当者が軽々しく「調光は出来ないらしいですよ」というのに思わずピキ!
施主を素人と思って舐めてかかって言い逃れしてるとしか思えない。
施主自らパナ電工の製品技術部へ連絡してシームレスラインランプがニッポ製であることを聞き出して、ルートロンにニッポ製であればマッチングテスト済みで調光可能という確認をして、ルートロンの設計を行うヤマギワにもその旨を伝えて確認をさせて最終的に「調光可能」という返答をもらっていました。
ですので「いい加減なことを言うな!」と反論して確認させたところやはり調光可能でして、ヤマギワと電気屋工事屋さんの間の連絡不行き届きで調光に必要な1本の配線をするのを忘れたらしいのです。
やった~無料でやり直し工事だ~と喜んだのも束の間、やり直し工事がとんでもないことに。
配線を通すために天井全体を剥がしてやり直し工事となるため、暫しホテル住まいするなり出て行かなければならないことに。
入居してまだ落ち着いてもいないのに、そんなドタバタは困る・・・・これには施主が尻込みしてしまいました。
バーチカル照明が最適な設置になるようにするやり直し工事とルートロンの再配線工事・・・・2つの工事を冷静に考えてみようと。
一生の買い物なのに最初からケチがついているのは絶対に許せない・・・それはそうなんですが、考える内に以下のように気になる点がでてきました。
●工事が大変
●バーチカル照明はほとんど点灯していないが、ルートロンと他の照明器具だけでも既に雰囲気が良い
●天井を剥がして本当に元に戻るのか(ウレタン塗装のゴミ混入という記事で書きましたが、やり直し工事をすればするほど壊れていく実態を知り、その不安がピークに達していた頃です)
→現場監督からも剥がして張り直すと若干波打ったりする可能性があると言われました
●間接照明の明かりが外に漏れている
透過性のバーチカルに反射をさせているので、室内に反射せずに外へ抜けてしまう光があります。
間接照明なし
間接照明あり
かなり隣家が明るくなります。
近隣とは工事に際してちょっとトラブルがあったので、これはまずいかもしれないと。
そういった事情を抜きにしても、そもそも人様の家を用もないのに煌々と照らすのはよくないと思いました。
以上のようなことが気になり、最終的にやり直し工事はせず、間接照明を撤去して、空いた隙間をウォールナットで埋めて綺麗にすることになりました。
またバーチカル照明に割り振っていたルートロンの回線(ゾーン)が1つ余ったので、コンセントに接続して市販の照明器具(白熱灯限定)を調光操作できるようにしました。
気持ちとしてバーチカル照明はどうしても欲しかった設備ですし、一生の買い物にケチがついたのも許せませんし、色々と葛藤はありました。
ただ、照明計画だけを考えれば、ルートロンのゾーン数は減らずに済んで、コンセントを介しての市販照明器具の調光が可能になりまして、色々な照明器具を調光できる選択肢が増えたので、あまりマイナスではないと考えています。
長くなりましたが、以上が入居後のやり直し工事で一番大きかった工事です。
住宅の根幹を揺るがす重大なミスではありませんが、どうして当たり前にイメージする住居がそのまま形にならないんだろうか、(あくまで私が感じる感覚ですが)家造りに関わる方達は何でいい加減なんだろうか、とやるせなくなった出来事でした。