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スイッチ・コンセント探し

設計における考え方の1つとして、日常的に触れるちょっとした設備にこそ、こだわる/お金をかけるという方向性があるかと思います。

例えば、水洗器具やシャワーヘッド、照明のスイッチなどは、まさにちょっとした日常的な設備です。

水洗器具は、水量とか水と湯の混合具合を調整するために細かい操作を要求されますし、照明スイッチは毎日繰り返しオン/オフの操作をします。

単なる設備ではなく、こういったちょっとした操作を要求されるものにこそ、こだわることで日常のちょっとした作業に心地よさをもたらすことになろうかと思います。

そのような発想でこだわろうと考えたのが照明のスイッチです。

バチンッバチンッという操作感・・・・子供の頃は意味もなくいじってましたが、色々なスイッチのサンプルを取り寄せて操作感を試してみると、大人でもクセになります。

そんな感じで、ドンドンとスイッチ探しにはまっていきました。

それからスイッチってどの家も似たようなモノを使ってますので、格好良い/こだわったスイッチというものを見ません。

スイッチ自体がダサさの代名詞のような印象もありまして、そこをちょっと変えるだけで「普通の家」から大きく脱却できるような気もして、これはポイントの高い設備だと考えました。

まず、スイッチ選びの方向性ですが、スイッチそのもの意匠がどうこうというより、空間の雰囲気に美しく馴染むものを探しました。

スイッチといえばまず思い浮かぶのは、インダストリアル系/アメリカン系のラフなスイッチですが、我がコーポラはスケルトン剥き出しのラフな空間ではないため、合わないと判断して却下しました。

探すとポンポン見つかるのですがね。

DOUBLE TOGGLE SWITCH

AWAスイッチ

SWITCH PLATE CARVING

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また、輸入物の格好良いスイッチはスイッチだけの展開でして、コンセントプレートがありません。

今お住まいの住宅を見てもらえば分かるのですが、スイッチとコンセントのプレートは実は同じでして、揃えることで空間にうまく収めているのです。

空間の雰囲気に美しく馴染ませるなら、スイッチと同じシリーズでコンセントが展開されている製品が良いと思いました。

そうすると必然的に日本製となりまして、その中でも神保のNKシリーズが目に付きました。

神保カタログP194に詳細があります。

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シンプルで直線的なシルエットでして、サイズが通常のプレートより大きいこともあって、デザインが映えます。

よく見ると分かるのですが、普通のスイッチは「プレート」「スイッチ」「スイッチ枠(スイッチ周辺の縁取り)」の3つ構成ですが、NKシリーズは「スイッチ枠」のない2つ構成です。

「スイッチ枠」がないとそれだけでスッキリして見えます。

それから、質感がマットなため、通常よりも高級感があります。

2連、3連のタイプでは、スイッチ同士が連なるのが格好良いです。

ただ、所詮は日本メーカーのデザインなので、所謂プロダクトデザインの範疇を出ておらず、デザイン家具もといデザイン設備というほどではないように思います。

外国製のように色気がないんですよね。

我がコーポラのスイッチ/コンセントのある箇所を見てみると、AEP塗装したプラスターボードの壁というのがほとんどでして、ここはNKシリーズにしようと判断しました。

また、リビングのメイン照明のスイッチ類や調光器ルートロンはコンクリ壁に敷設される予定でして、唯一、AEP塗装したプラスターボードではない壁の設備です。

少し脱線しますが、このリビングのスイッチ関係を床から立ち上げて、コントロールパネルのようなものを作って操作をする案(パネルから床まで太めの配線を複数並べて綺麗に垂らして意匠として見せる)がありました。

アイデアの元になったのはカーサ・ブルータス「最強・最新!住宅案内2009」のP35に紹介されていた住宅の記事です。

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こちらはオーディオのコンポーネントを流用しています。

最初は乗り気だった設計士が直前にブレーキをかけまして無難にコンクリ壁に敷設することに。

大した理由も言ってなかったので、自分の手に余るアイデアだったのでしょうか。

話を戻しまして、唯一コンクリ壁に敷設するスイッチだけは、デザイン性を優先してNKシリーズとは別のモノにしようと考えました。

プラスチック製のNKシリーズにすると、素材感がコンクリに負けてしまうような気もしました。

最終的にAWAのClassic Series 3のロッカータイプを採用しました。

Classic Series 2の方が薄くてシャープなのですが、ロッカータイプだとビスが2つ見えてしまうこともあり、ビスが隠れるClassic Series 3にしました。

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ステンレスのヘアライン仕上げでして、ルートロンの面材と合わせています。

ちなみにAWAスイッチもそうでしたが、海外製はボックスが日本製よりも多少大きいので注意が必要です。

大きいボックスが収まるかどうか・・・例えばコンクリ壁に敷設するならば、スケルトン工事をする際にボックス部分を大きく取っておく必要があるので、早い段階で確認する必要があります。

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まとめますと、数の多いAEP塗装の白い壁にあるスイッチ/コンセントはNKシリーズの白に統一。

収まりの美しさを優先して、スイッチ自体はそこそこの意匠に留める。

唯一、コンクリ壁にあるスイッチは、ルートロンと並べて少し目立たせるために、AWAスイッチのステンレス/ロッカータイプを採用。

こんな具合です。

実際に入居してみて、NKシリーズは美しくまとまっていますし、AWAスイッチはそれなりに目立っていまして、狙い通りです。

敷設する壁の違いでもって、採用するスイッチ製品を切り替えており、この切り返しはうまくいった気がします。

スイッチのパチンッという質感は、ありきたりなスイッチよりも気持ちよくて、心地良い響きを日常の中で無意識に愛でています。

スイッチはこだわって良かったです。

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他に候補にあがったスイッチ/コンセントとしてはAVEスイッチがあります。

流石イタリアデザインとでも言いますか、プレートの質感が素晴らしくて、種類/デザインが豊富です。

中でもガラスと無垢材削りだしの木調が好みでした。

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事務所が両国の近くにありまして、サンプルをもらいに伺ったのですが、町中の工務店といった感じの事務所でちょっと驚きました。

色々と相談にのっていただき、快くサンプルをいただきました。

スイッチだけではんくコンセントにも使えるので、海外製としては画期的なのですが、イタリアと日本はそもそもコンセントの大きさが異なるのです。

日本方が大きいらしく、3つコンセントの口を作っても左右の2つしか使えません。

しかも、基本的にはプレートを横向きにして使うので、もし縦に使った場合はコンセントの差し込みも縦になってしまい、コンセントを差し込む時に違和感があると感じました。

NKシリーズにするかAVEスイッチにするか迷ったのですが、コンセントとしては使いづらいと判断して、NKシリーズにしました。

ちなみにAVEもAWAと同様にボックスサイズが大きくなります。

AVEの他で言いますと、川上元美氏がデザインをしたPUNTOも種類が豊富でお奨めです。
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